島で働く理由
島での働き方
【助産師】 小笠原で助産師をすること
助産師の仕事と言えば、まず思いつくのが、「分娩介助」になります。しかし、小笠原村では、産科医師の確保や分娩体制の問題などにより、出産ができない状況になっています(つまり分娩介助はできません!)。更に、妊婦さんが出産するにあたり、定期船の乗船制限により妊娠32週以前に上京せざるをえません。
小笠原村には産婦人科医はおらず、2ヶ月に一度(年6回)産婦人科巡回診療があるのみで、それ以外は助産師である私と、常勤医(自治医大卒業医)とで妊婦健診や異常時の対応を行っています。「妊婦さんが住み慣れた小笠原で、32週ギリギリまで、安全に安心して、生活できるようにサポートすること」これが1番の使命だと思います。
妊娠初期から島を離れるまでは、妊婦健診や母親学級、両親学級、それ以外でも相談しやすい関係づくりをし、出産後は家庭訪問、乳幼児健診、母乳相談、育児相談で継続し丁寧にフォローしていきます。
勤務先は、地域住民の全ての疾病に携わる島唯一の有床診療所である小笠原村診療所になります。産婦人科だけでなく、科を問わず治療・看護を実践することや幅広い知識が必要になります。しかも、看護業務だけでなく検査室や薬局業務もしなければなりません。自分の専門以外のこと、今まで経験のないこと、興味がなかったこともする必要があるため、様々なことに挑戦でき実践できる気持ちと力が必要になります。
小笠原は内地と距離があり、また交通手段にも制限がある為、異常の早期発見、医師や保健師、その他の機関との連携、コミュニケーション能力が大切になると思います。
赴任当初は、慣れない土地・仕事でいっぱいいっぱいな毎日でしたが、今では綺麗な海でシーカヤックやシュノーケリングや釣りをしたり、島にあるジャズサークルでサックスを担当し、イベントなどで演奏させてもらい、住民の方々とも交流し楽しんでいます。
妊婦をはじめとする島民の健康を守るという役割を担いつつ、離島ライフも満喫できる素敵な仕事だと思います。ぜひ、小笠原村の助産師となって、お持ちのスキルを存分に発揮してください! ご応募お待ちしております。
【介護福祉士】 島での介護
「太陽の郷」では、少人数制の利用者を早番・日勤・遅番・夜勤と24時間の交代制で介護しています。仕事内容は、食事・排泄・入浴等の身体介護や洗濯・掃除等の生活面の介護、レクリエーション等と内地の介護施設と変わりありません。
「太陽の郷」は、村の唯一の住宅型介護施設になります。「住み慣れた島で安心して生活が送れるように、ゆっくりした時間の中で自分らしく満足いく生活ができるように」をモットーに仕事をしています。
離島のため、講習会に参加する機会は少ないのですが、年に数回ほど内地から講師を呼び勉強会を実施しスキルアップもしています。内地のように、物や人材の確保が十分とは言えないところはありますが、スタッフで勉強して知恵をだし工夫した介護をしています。
旅行で小笠原に来て、海の青さやすばらしい自然環境に感動して移住をしようと決めました。
内地でも介護職を20年近くしていたので、老人施設での勤務にはイメージできたので不安はなく赴任してきました。慣れない島で知人もいない状態で移住しました。
生活面で不便なこともありますが、小笠原は移住者が多いので島民同士が協力し合っているので安心して生活できています。
【看護師】青柳智美
島で結婚、出産(産んだのは内地です)し育児休暇後復職しました。復職時は2歳と4歳児がおり主に日勤帯の外来、病棟、2階の老人ホームにおいて看護業務を行っています。
業務は多岐にわたり、診療の介助、検査、調剤、病棟看護、訪問看護、有料老人ホームでの看護業務、他学校健診、健康診断、乳幼児健診、地域の精神グループワークへの参加、島内ロードレースの救護班、硫黄島訪島事業への医療班としての参加などがあります。1次救急~3次救急まで対応し、内地への救急搬送も年間30件ほどあります。
この島に来て初めて自衛隊の飛行艇で患者様を搬送したときのことは今でも覚えています。東京都、自衛隊、硫黄島、村役場と多くの方の協力があって1人の患者様の命をつなげていることを強く感じた場面でした。消防隊がいないため、救急の連絡受け、救急車も自分たちで出動したりと、内地との違いも様々あり最初は戸惑うこともありますがとても楽しい職場です。
【管理栄養士】守本めぐみ
内地では何人かの栄養士がいろんな業務を分担して行っているのに対し、ここではそれを一人でやらなければなりません。でも職種関係なくコミュニケーションの取りやすい環境で、いつも周りの人に助けてもらいながら仕事をしています。
仕事が多岐にわたるため、内地では経験できないような貴重な経験が積めます。いつかこの職場を離れる時が来ても、ここで働けてよかったと思うと思います。
【歯科技工士】阿部範行(48歳/小笠原村診療所勤務歴17年)
1日の大まかな流れとしては、朝7:50には出勤。みんなの珈琲を作る。診察は9時~12時、1時30分~5時。昼休みは自分も含めて家に帰る人がほとんどです。
仕事の内容については、私がここに赴任した時は、材料・機械の関係で、内地に外注していた技工物もあったのですが、「自分が来たからには外注ゼロ!!」を目指し、今では矯正装置以外は全て私が制作しています。
クラウンブリッジ数は少ないですが、メタルボンド、総・局部義歯、それから、これも数が少ないですが金属床も製作しています。石膏注入から義歯修理、メタルボンド、デンチャーまで全て1人でやっているので、大きなケースは重なると思いの外なかなかの忙しさになります。
ここでは自分の作った技工物を入れた患者さんと普通の生活の中で、普通に接する事が多々あります。それはとても大きなやりがいにもなりますが、また同時に恐ろしくもあります。内地の技工所等で働いていれば患者さんから直接お褒めの言葉を頂いたり、お叱りの言葉を頂く事はありえません。しかし、此処ではそれがあるんです。
ここで医療従事者として働く事は、とても有意義であり、また、地域医療への貢献を実感する事ができるのです。
【事務】 奥原 茂(29歳/小笠原村診療所勤務歴1年半)
島で働く時に気をつけていることは、意外に見られているということです。狭い島ということもあり、知っている人も多く、救急車などが出動した時などは、翌日などに、昨日は救急車なにがあったのと聞かれることも多くあります。
失敗を指摘されることもあるけど、注目してもらえるということで、やればやるだけいつもがんばってるねと言ってもらえることも多く、やりがいにつながっています。頭で考えるよりも、体を動かして迅速に動けた方が、みんなに評価していただけることが多いと思います。